jSTAT MAPを使って人流データをみる

更新日

2025年12月10日

人流データ

人流データは、人がいつどこにどのくらいいるのかを数字で把握できるデータです。 主にスマートフォンの位置情報や交通系ICカードの履歴、街なかの各種センサなどから個人を特定できない形で収集されています。 得られたデータは、防災やまちづくり、観光などの多くの分野での活用されています。 コロナ禍においては、三密の回避のために、様々な人流データが公開されていました(NTTドコモAppleGoogle)。

国土交通省「全国の人流オープンデータ」

国土交通省は、2019年1月から2021年12月までの携帯電話端末等の位置情報データから得られる広域な人流データを、オープンデータとして公開しています。 G空間情報センターウェブサイトから誰でもダウンロードすることができます(ユーザー登録が必要です)。

オープンデータの内容

  • 2019年1月から2021年12月まで全国の月別人流データ
  • 「1kmメッシュ滞在人口」と「市町村単位発地別滞在人口」の2種類
  • 滞在人口は1ヶ⽉間における1日あたりの平均値
  • 集計単位は「平日/休日/全日」「昼/深夜/終日」
    • (市町村単位のみ)「同市区町村/同都道府県/同地方/それ以外」

滞在人口の作成方法

  1. 拡大推計:アプリユーザごとに、地域に応じた拡大推計を実施
  2. 集計加工:1で拡大推計を行ったアプリユーザの緯度経度データを「メッシュ」または「市区町村」単位で集計
  3. 時間按分:2で集計したデータに対し、人口値を滞在時間で按分し、換算人口値を算出

国土交通省不動産・建設経済局(2021)「オープンデータ(人流データ)定義書」より

人流オープンデータの取得

以下の手順に沿って、人流オープンデータを取得してください。

1. ユーザー登録

  • メールが届くので、メールの指示に従って、記載されたURLにアクセスし、記載された確認コードを入力すればOKです。

2. ログイン

  • ログインページに移動し、ユーザー名とパスワードを入力し、[ログイン]ボタンをクリックします。

3. データの取得

ページ中ほどにある[monthly_mdp_mesh1km_40(福岡県)]をクリックしてください。

[ダウンロード][利用規約を承諾する]をクリックして、福岡県のデータをダウンロードします。

4. データの確認

  • 「monthly_mdp_mesh1km_40.zip」を展開してください。 [2019]「2020」「2021」の3つのフォルダがあると思います。
  • 「2019」フォルダを開いてみましょう。 中には「01」から「12」までの12個のフォルダがあると思います。
  • 「01」フォルダを開いてみましょう。 「monthly_mdp_mesh1km.csv.zip」というZIPファイルがありますので、開いてください。
  • 「monthly_mdp_mesh1km.csv」というCSVファイルがあると思います。 これをダブルクリックして開いてみましょう。

CSVファイルに収録されたデータの説明は以下の表の通りです。 メッシュIDは「地域メッシュコード」が使われていて、国勢調査などの地域メッシュデータと共通のコード(JIS規格)になっています。

CSV列名 意味 備考
mesh1kmid メッシュID
prefcode 都道府県コード
citycode 市区町村コード
year
month
dayflag 平休日 “0”:休日 “1”:平日 “2”:全日
timezone 時間帯 “0”:昼 “1”:深夜 “2”:終日
population 滞在人口 集計期間の平均値(10人未満は切り捨て)

jSTAT MAPで人流分析

ダウンロードした人流データを、jSTAT MAPで表示してみましょう

1. CSVファイルのフィルタリング

ダウンロードした人流データには、「平休日」「時間帯」それぞれ3種類ずつ、つまり合計9種類の集計単位による滞在人口データが、1つのCSVファイルに含まれています。 jSTAT MAPではこのようなデータをうまく取り扱うことができませんので、事前にExcelなど別のツールを使って集計単位ごとのファイルに分割する必要があります。

平日・昼間のデータに絞った例
  1. フィルター機能を利用して、平休日と時間帯の数値それぞれについて、0、1、2のいずれか1つだけを選択します。
  2. データをすべてクリップボードにコピー[Ctrl+AC]します。
  3. 新しいExcelファイルを作成[Ctrl+N]します。
  4. クリップボードの内容をペースト[Ctrl+V]します。
  5. ファイルをCSV形式で保存[Ctrl+S]します。フィルタリングの内容がわかるファイル名3にしましょう。

2. CSVファイルの読み込み

作成したCSVファイル(平休日と時間帯のフィルタリング済み)をjSTAT MAPに読み込んで、1kmメッシュ滞在人口を表示させてみましょう。

  1. WebブラウザでjSTAT MAPにアクセスし、ログインします。
  2. [ファイル]メニューから[インポート]を選択します。

  1. [ユーザ統計]をクリックします。
  2. [集計地域]を「3次メッシュ(1kmメッシュ)」に、[統計名]を「国勢調査」に、[年または年月]を「2020年」にそれぞれ設定します4
  3. [参照]ボタンをクリックするとファイル選択ウインドウが開くので、先ほど保存したCSVファイルを選択して【アップロード]ボタンをクリックします。
  4. [アップロード]ボタンをクリックすると、ファイルのアップロードが開始されます。

3. 統計地図の作成

jSTAT MAPを使って、メッシュ滞在人口を可視化してみましょう。

  1. 「統計地図作成」「統計グラフ作成」を選択します。
  2. 「ユーザーデータ」タブをクリックします。
  3. [種類]のプルダウンメニューから「ユーザーデータ」を選択し、[グループ]のプルダウンメニューから、先程インポートしたCSVファイルを選択します。
  4. [指標/データ]リストの一番下にある「population」にチェック✅を入れ、「▼指標選択」をクリックします。
  5. 「次へ」をクリックします。
  6. 「集計開始」をクリックします。

しばらく待つと、メッシュ滞在人口地図の塗り分け地図が描画されます。

4. 新型コロナは働き方をどう変えたか?

テレワークとは「情報通信技術(ICT)を活用した、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」のことです。 テレワークは、場所にとらわれない仕事のスタイルを実現できることから、働き方改革の手段として重視されてきました。 また、「人と人との接触」を減らすことができるテレワークは、新型コロナウイルス等の感染症の拡大防止の有力な手段としても注目され、広まりました。

国土交通省の調査によれば、令和2(2019)年からテレワーカー率が上昇している一方、 地方都市圏では首都圏に比べるとテレワーカー率が低いことが確認されています。

また、福岡県での新型コロナの状況とその対策については、福岡県が整理した資料などを参考にすることができます。

新型コロナウイルス感染症への主な対応:福岡県(2024)『新型コロナウイルス感染症対応の総括と記録』

以上から、テレワーカー率は時期と場所によって異なることが予想されます。 そこで、メッシュ滞在人口データを使って、福岡県におけるコロナ禍でのテレワーカー率の変化を詳しく調べてみましょう。

演習

人流データ(メッシュ滞在人口データ)に、「テレワーカー数」の数字があるわけではありませんので、周辺情報から類推する必要があります。 そこでここでは、「オフィス街の昼間人口減少(従業地からみた場合)」あるいは「住宅街の昼間人口増加(居住地からみた場合)」が観測されれば、そのメッシュのテレワーカー数に変化があったとみなすことにしましょう。

コロナ禍における福岡県のテレワーカー数変化について、仮説を立てて、その仮説に基づいて統計グラフを作ってください。 ここでの仮説とは、例えば、

  • 2020年4月以降、テレワーカー数は上昇を続けた。特に、都心から離れるほど、テレワーカー数の増加率が高かった。

というように、テレワーカー数の変化について、その時期場所のあたりをつけることだと定義することにします。

仮説ができたら、次に、この仮説が正しいかどうかをデータから判断するための統計グラフを作ってください。 メッシュ滞在人口をどのように集計すれば、判断に役立つグラフを作れるか考えて、工夫してみてください。

脚注

  1. 「学生」と入力すればよいです。↩︎

  2. ブラウザやOSの機能を使って強力なパスワードを作ることを推奨します(ただし記号が入ったパスワードは使えないので注意)。↩︎

  3. データの年、月、平休日、時間帯をファイル名に含めておくと良いと思います。↩︎

  4. 読み込むデータは国勢調査のデータではありませんが、1kmメッシュの「地域メッシュコード」を利用して読み込みますので、ここでは地域メッシュコードを利用可能な統計の例として、2020年の国勢調査を指定しています。↩︎